- 『さよなら日劇ラストショウ』
- しんちゃんが大好き
- 『クレヨンしんちゃんナイト』ってなんだ!
- アクション仮面 VS ハイグレ魔王
- 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
- 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
- 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦
- 一晩を過ごして
- おまけ
※作品のネタバレなしです
『さよなら日劇ラストショウ』
2018年2月4日、有楽町にある日本劇場の名を継ぐ映画館、TOHOシネマズ日劇が閉館し、85年の歴史に幕を下ろしました。これに合わせて1月27日から2月4日までの約1週間、『さよなら日劇ラストショウ』というイベントが開催されていたのはご存知でしょうか?
昔からある名作を、もう一度スクリーンで上映します!という内容です。中にはオールナイトでシリーズ物の映画を一挙上映するものもありました。ラインナップについてはこちらのツイートが詳しいのですが…
【さよなら日劇】
— 情景師アラーキー/荒木さとし (@arakichi1969) 2018年1月20日
2018年2月4日(日)で85年の歴史に幕を下ろす有楽町・日劇。
そのラスト上映イベントが凄すぎる!
日劇と言えば、ゴジラの一気上映!
ななんと、バックトゥーザフューチャー、AKIRA、紅の豚、ファイブスター物語(!)など、大スクリーンで見れるラストチャンスhttps://t.co/IkhMG2PZRe pic.twitter.com/cseMgnv6Mq
ラインナップが熱すぎませんか? ゴジラ、バックトゥザフューチャー、ジブリシリーズ等々…名作がこれでもか!!と勢揃い。
そのそうそうたるメンツの中でも群を抜いて私の目を惹いた単語はこちら。
「クレヨンしんちゃんナイト」。
取り急ぎチケットを確保しました。
しんちゃんが大好き
それと言うのも、実はわたくしクレヨンしんちゃんが大好きなんです。クレヨンしんちゃんが、大好きなんです。大事な事なので二度言いました。
クレヨンしんちゃんというと、下品だとか教育に悪いだとかくだらないだとかでなにかと父兄の皆様に嫌われがちな作品ですよね。実際、大学時代は「親に禁止されていた」という友人がたくさんいました。確かに下品だし教育に悪いと思います。
だからなんだ!!!
そもそも青年誌の漫画だから仕方ないんですよ。子供向けじゃなかった。原作漫画、普通にラブホとか出てくるし。それがなんだかんだ時代の流れに乗って子供向けになっちゃった!というだけです。もっと言えばですね、「下品だ」「くだらない」なんて私にとっては何らマイナスポイントではないです。むしろプラス!むしろプラスだよ!!!!
※屁理屈をこねていますが、子供に見せたくないな…っていう親御さんの気持ちも十分わかりますので、見せたくないおうちは見せなくていいと思います。
真面目に話しますと、私はしんちゃんに登場するキャラクターたちの人間的な欠陥が好きなのです。例えばみさえは子育てや家事に対して思いきり手を抜くズボラさがありますし、ひろしは妻や娘の前でもスケベを全開にするだらしなさがあります。みんなそれぞれ何か人間的な欠陥があるのですが、それでも大切な人がいて、その欠陥もひっくるめて愛してくれる人がいて、100点ではないかもしれないけど十分「幸せだ!」って胸を張れるような暮らしを送っていますよね。
その完璧ではない円満さが心地良くて好きなんですよね。別に完璧でなくたって良いんだよ~完璧でなくたって幸せは作れるんだよ~と言われているようで。
あとは元々しょうもないギャグが好きだというのももちろんあります。ゲラゲラ笑ってしまうようなくだらないギャグ、大好きです!
サイトもいちいち可愛いのでお時間あるときにでも見ていただければ!
<公式ポータルサイト>
<アニメ公式サイト>
あと公式で配布されている壁紙も超可愛い。(2017年12月に更新停止した旧公式サイトです。)
『クレヨンしんちゃんナイト』ってなんだ!
クレしんナイトってなんだって感じですよね。概要としては、レイトショーの時間くらいから映画上映を開始し、オールナイトで複数の作品を観る、というものです。要するに、徹夜してしんちゃん映画鑑賞を行います。映画館の大きなスクリーンで。完全にとちくるっていますね。東宝さん、本当にありがとう。
ちなみに上映作品は以下の4つです。
・『アクション仮面 VS ハイグレ魔王』(1993年公開)
・『電撃! ブタのヒヅメ大作戦』(1998年公開)
・『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年公開)
・『嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(2002年公開)
後半2本は人気っぷりからして「まぁそうだろうな」というチョイスなのですが、正直ブタのヒヅメが入ってきたのは意外でした。もちろん大好きなんですけど、完全にファン向けのイベントですから、ファン人気の根強いヘンダーランドが入ってくるものかと予想していたんですよね~。
一方、気になるタイムスケジュールはといいますと…
21:45~23:22 ハイグレ魔王(97分)
<休憩>
23:45~25:24 ブタのヒヅメ(99分)
<休憩>
25:45~27:14 オトナ帝国(89分)
<休憩>
27:45~29:20 アッパレ戦国(95分)
29時という表記を生まれて初めて目にしました。ちょっとビビっちゃいますね。素晴らしいラインナップであることには間違いがありませんが、最近オールする機会なぞ皆無なので生半可な気持ちで挑むと映画館で就寝するだけの時間になってしまいます。気合を入れて前日からがっつり睡眠をとり、万全の体勢で当日を迎えました。
アクション仮面 VS ハイグレ魔王
まずはハイグレ魔王。こちらは劇場版クレヨンしんちゃんの記念すべき1作目で、興行収入は22.2億円。これは歴代の劇場版クレしん25作品の中でも第2位という数字で、当時は驚くべき人気ぶりだったようです。*1
臼井儀人原作の人気マンガ「クレヨンしんちゃん」の初の映画化作品。チョコビで当てたNo.99のアクション仮面カードを持って、夏休みに家族と海へ出かけるしんのすけ。するとそこに“アクション仮面アトラクション・ハウス”が出現。しんのすけがカードを見せると、不思議なマシンに乗せられてしまう。たどり着いた先は異次元の世界。ここではハイグレ魔王が、アクション仮面の力を封じて悪事をはたらいていた。世界の危機を救うため、しんのすけはアクション仮面と協力するが…。*2
驚いたことに予告編の映像がyoutubeにあがっていました。テレビ朝日やるやん!
この作品についてはかなり小さい頃に妹と一緒に見たくらいの記憶しかなく、本当に本当に久しぶりで、まず懐かしさだけで涙が出ました。
私的なこの作品の魅力は3つです。
①前半パートの「日常感」のあたたかさ
めっちゃあったかい。じんわりします。野原一家*3やふたば幼稚園、かすかべ防衛隊との日常的なやりとりがたっぷり詰め込まれています。
②アクション仮面(郷剛太郎)とミミ子(桜ミミ子)のパートナーシップ
このハイグレ魔王の中では、アクション仮面が「アクション仮面」という特撮ヒーローではなく、アクション星からやって来た本物のアクション仮面という設定で現れます。ミミ子はそのパートナーです。役ではなく、本当にパートナーなんですね。この2人の関係性を見ていると思わず笑みがこぼれます。
③ヒーローとしてのプライド
この作品の大ボスであるハイグレ魔王は悪役らしく汚い手を使うことも厭わないような人物です。しかし、ヒーローであるアクション仮面はそんな彼(あるいは彼女)にも正々堂々と挑みます。自分を真摯に応援してくれる子供=しんのすけの目の前で、ヒーローの名に恥じることのない戦いぶりを見せます。
電撃!ブタのヒヅメ大作戦
続いてはアクション要素が強く現れた作品であるブタのヒヅメ。ハイグレ魔王のわずか5年後の作品ですが、すっかり今風の絵柄にまとまっています。
人気の「クレヨンしんちゃん」映画第6作。本作のアクションは国際スパイ戦がテーマだ。世界征服を目論む謎の男マウス率いる秘密結社“ブタのヒヅメ”。彼らが新兵器を開発したと知った国際情報組織SMLの女性エージェント“お色気”は、敵の空中要塞から兵器の一部パーツを奪取。彼女は東京湾を進む屋形船へ逃れるが、その船内にいたのは遠足中のしんのすけたちだった。ブタのヒヅメの追っ手はしんのすけたちもろともお色気を捕まえるが。*4
①フェチズムを明確に感じさせる全身スーツの描写
初っぱなのシーンからびしばし感じます。作画が非常に綺麗なんです。これは別に全身スーツの描写に限ったわけではなく、アクションシーン全般綺麗なんですが、特に全身スーツ描写は気合が伝わってきます。
②テンポのいいギャグ
この前年に公開された作品である『暗黒タマタマ大追跡』から劇画風のキレのあるギャグが入ってきており、この作品もその流れのうちのひとつです。予告からもお分かりかと思いますが、ストーリーの大筋は真面目なものなのであるにも関わらず敵も味方もギャグ連発で声だして笑ってしまいます。
③ぶりぶりざえもんから学ぶ「人助け」の大切さ
そんなギャグだらけの映画なのですが、子供に向けたメッセージはまっすぐです。ネタバレになってしまうので詳細に触れられないのですが、この作品の中にはしんのすけのオリジナルキャラクターである救いのヒーロー・ぶりぶりざえもんが登場します。ダメダメなヒーローである彼だからこそ、そのメッセージは胸に来るものがあります。
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
これは観たことのある方も多いのではないでしょうか。「クレしん映画は泣ける」の地位を確立したとも言えるオトナ帝国です。主軸となるテーマはなかなか重く、子供向けであると断言しづらい部分もありますが、子供も十分楽しめるような作りになっています。幼少期に子供ながら泣いたことを思い出しますねぇ。
もはやお子様向けアニメ映画の枠を完全に脱した感のある「クレヨンしんちゃん」映画版の9作目。21世紀を無かった事にして、再び世界を20世紀の時代に返そうと画策するイエスタディ・ワンス・モアのリーダー、ケンと自分たちの未来を守るべく立ちあがったしんちゃんの壮絶な戦いを描く。
春日部に誕生した“20世紀博”。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界にひたれるテーマ・パークだった。大人たちは子供そっちのけで“20世紀博”に熱中していくが、しんちゃんたち“かすかべ防衛隊”の面々はそんな親の姿に呆れながらも心配そうな目をしていた。その夜、20世紀博から重要なお知らせがある事を思い出してTVを付けるとひろしたちは……。*5
この作品の魅力はこちらです。
①ひろしの魅力が爆発する
最近なにかともてはやされがちなひろしですが、本作品では特にその魅力が最大限に発揮されます。子供だったひろしが、様々な人生のイベントを経て親になっていく姿は、涙無しには見られません。
②悪役らしからぬ悪役
今回の悪役はギャグ要素がなく、他人を陥れようとする悪意もありません。「みんなが幸せだった時代に戻ろう」という信念のもと真面目に計画をすすめていきます。その思いには観客も共感できる部分があり、だからこそ最後にしんのすけと対峙するシーンは熱を帯びます。
③未来に突き進む子供たちのエネルギー
懐かしさに溢れた、しっとりした世界観の中で、ひときわ輝いて見えるのがしんのすけやかすかべ防衛隊をはじめとした子供たちです。未来への期待に満ち溢れた彼らの姿に背中を押され、こちらも「明日も頑張ろう!」という気力が湧きます。
嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦
こちらも「泣ける」と大変話題になりましたね。実写化までされています。個人的に「泣ける」という推し方は好きではないのですが、これは仕方ないかとも思いますね…。ただし、他作品とするとクレしん要素が薄く、ファンの中には「こんなのクレしんじゃない」という意見もあります。それだけガッツリ戦国の世界観を作られた作品です。
前作では子ども以上に一緒に来た大人たちを涙させた傑作「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」を世に送り出した“クレヨンしんちゃん”の劇場公開版第10作目はなんと本格時代劇。しんのすけが戦国時代を舞台に大暴れ!春日部に居を構える野原家のルーツにも迫る一大歴史巨編(?)を“おバカ”なアクションとギャグ満載で描く。
しんのすけは家の庭で妙な古い手紙を見つける。しかも、その手紙を書いたのは他ならぬしんのすけ本人。しかし、しんのすけにはそんな手紙を書いた記憶がない。内容を読んでもちんぷんかんぷん……。そして、しんのすけは知らぬ間に戦国時代へとタイムスリップしてしまう。そこで、しんのすけは、ひょんなことから偶然出会ったかっこいい侍、井尻又兵衛由俊を助けてしまう。城に招かれ陽気な家来たちと騒いだり、お姫様の廉姫に一目ぼれしたりするのんきなしんのすけだったが……。*6
①巧みな心情描写
この作品は又兵衛と廉姫の関係性が大切な要素となっています。その二人の心情の揺れ動きが、「これは本当に子供向けアニメか?」と思うような丁寧さで描かれます。その他の登場人物の心情描写についてもよく表現されていて、思わず引き込まれますよ!
②徐々に高まる不穏な空気
舞台が戦国時代ですから、やはり戦が発生します。すべての事象が開戦に向かってゆく状況と、それを察して焦りを感じるひろし・みさえ。ベースがクレしんであるだけにふざけたシーンが散見されるのですが、それにも関わらず不穏さは徐々に色濃くなります。これがあるからこそ、ラストシーンがかなり映えたのだと思います。
③思わず呆然としてしまうラストシーン
これは初見だと本当に呆然としてしまいます。詳しいことは語れないので、気になる方は見てみて下さいね。
一晩を過ごして
映画が始まる前から、会場内には不思議な一体感がありました。 わざわざ徹夜でクレしんの映画を観るためだけに有楽町に集ったフリークたちの集いですもの。「ここにいるやつ全員クレしん好きなんだな」という確信でにやけが止まりませんでした。大人になるとそんな空間で過ごせる機会はなかなかありませんから、それだけでソワソワしてしまいました。中にはしっかりチョコビを持参している方も。めっちゃうらやましかったです。
上映開始すると、みんな笑いどころや泣きどころが一緒。私含めもう何回も観ている方ばっかりで展開もわかっていますから、見せ場が近づいてくるとみなさん熱が増していくのも感じられました。その一体感がたまらなかったです。
こういう古い作品を映画館で観たのは初めてだったんですが、空気感を共有することで気づく新たな作品の魅力にも気づけますね。それからスクリーンの規模も音響も違うから臨場感が段違い。映画ってやっぱり映画館で上映するために作られてるんだ、DVDやBlu-rayじゃないんだ…と感慨深かったです。(もちろんそれらもバンバン利用しますが!)
決して満席とは言えない空間でしたが、ああやってみんなで観られる機会を得られてよかったです。相当満足しました。幸せ~。
おまけ
このラストショウの情報をたれ込んできたのは、我が親友・花本という輩です。この花本、これから先何かにつけて登場すると思うのでちょっと紹介しておきますと、私の中学校からの同級生でして、別々の高校・大学・就職先に進んだにも関わらず、今も何故か一緒に遊んでいるという腐れ縁的友人です。彼女は相当ぶっ飛んだ人間でネタに事欠かないので、今度彼女のための記事を書いてやろうと思います。
そんな花本はジブリオタクなので、ジブリ作品の中でも1位2位を争う名作(※個人の見解です)『紅の豚』目当て。同居人の分も合わせて連番でチケットを取ってもらいました。
それから同居人は『AKIRA』ファン。『AKIRA』も上映されることを知り速攻チケットをおさえにかかる。そりゃ私も見たいので、連番で取ってもらいました。
もうお分かりかと思いますが、このラストショウで6本映画観ました。本当は他にも観たい映画だらけだったのですが、あれ以上観賞してたらもうダメだったと思います。実際このオールナイトイベントで腰がやられて翌日死にました。休憩時間にストレッチしてたんですけどね…。みなさま、長時間映画館で映画鑑賞を行う際にはクッション等の装備を万全に整えてくださいね。
*1:2018年2月現在。ちなみに、1位は2015年に公開された『オラの引越し物語~サボテン大逆襲~』です。つまり、2014年の段階までずっと1位の座を守り続けていたんですね~!
*2:
映画 アニメ 映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 - allcinema
*3:この時代はまだひまわりが生まれる前の3人家族です。
*4:
映画 アニメ 映画クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦 - allcinema
*5:
映画 アニメ 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 - allcinema
*6:
映画 アニメ 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 - allcinema