こんにちは。ちゃいこです。
本日は以前ご紹介した、「ブルーピリオド」という漫画についてお話します。
あのあと
昨年の2月にこのような記事を書きました。
ブルーピリオドの1巻無料公開キャンペーンに合わせて書いたものです。(驚いたことに作者・山口さんご本人の目に触れて拡散までしていただき、お陰様で多くの方に読んでいただくことができました…!ありがとうございました。)
このとき「2巻の発売が楽しみだ」というような文言で締めくくっていたのですが、実はあれから一昨日に至るまでの約1年間、続刊が読めずにいました。入手できなかったということもなく、我が家の本棚にずっと並べられていたのに、です。
決して飽きたわけでも、何か腑に落ちないポイントがあったわけでもありません。腹の底から面白い作品だと感じていますし、続きを読みたいとも思っていました。
しかし、いざ読もうとするも心の整理がつかず本棚に戻してしまう、という行為を繰り返していました。
コンプレックス
ブルーピリオドは、1人の秀才ヤンキー・八虎が藝大を目指す”スポ根美大受験物語”です。
なんでもそつなくこなせてしまうがゆえに熱中できる目的・目標を見つけられない…そんな高校二年生の八虎(やとら)が、今まで一切関心のなかった「芸術」に一気にのめり込んでいく様を描きます。(前回記事より抜粋)
八虎は高校2年生のある日に出会った絵をきっかけに芸術というものに惹かれはじめるのですが、しばらくは自分の気持ちを否定し続けます。
『まあ美術なんて才能の世界で遊んでるだけの変人の集まりだもんな』(1巻/1話)
『ばかみてえ あーらしくないことした!美術なんかどうでもいいじゃん』(1巻/1話)
『お絵描きって趣味でいいんじゃないの?(中略)ガチでやる意味ある?』(1巻/2話)
逃げるための言い訳を重ねる八虎の姿は、私自身の姿と重なります。
私は昔から絵を描くことが好きで、子供のころから今まで描くという行為を辞めずに生きてきました。イラストレーターやそういった世界に関わる職業に就きたいという気持ちもずっとありました。そしてその気持ちは人生の岐路に立たされたとき必ず頭をもたげていました。しかし、その度にやらない理由を探してここまで生きてきてしまいました。
私がこの世を生きづらいと感じているのは、(他にも理由はあると思いますが)何よりもその気持ちを否定し続けてきたことが理由だという確信があります。どこかでそちらの道に踏み込む決断をしきれていれば、今何かが違っていたのではないかと。
しかし、未だに言い訳を集めて過ごしている私とは違い、八虎は途中で言い訳することを辞めました。全身全霊をかけて絵の世界に飛び込んだのです。
八虎が絵を通して感じた「自分の世界を表現する」「他人に自分の世界を認められる」喜びは、絵描きの端くれである私も深く共感します。共感したからこそ、思い切って一歩を踏み出した八虎の姿が眩しくて苦しくてたまりませんでした。このコンプレックスが私をブルーピリオドから遠ざけていました。
続刊を読めなかった1年間
私の友人・花本も私と同じく、自分の創作活動に全力投球できていないことに焦りを感じている人間の一人です。
ある時お互いに「このままでいいのだろうか」「今からでも何かやれるんじゃないだろうか」という焦燥感がピークに達したことがありました。そのときはじめたものが『交換日記』です。
交換日記といっても小学生女子が楽しむような可愛らしいものではなくて、スプレッドシートに今日の出来事や達成できたこと・できなかったことを毎日記入して、かつ赤ペン先生よろしく相手を褒めたり励ましたりするコメントをつける、というシンプルな記録です。自分の努力の形跡を記録として残すこと、褒め合うことでモチベーションと自尊心を維持することの2つを目的に生み出されました。
この交換日記のスタートは2018/8/1。たまに仕事の都合等で数日分まとめて書くこともありますが、半年経った今もこの取り組みは続いています。そして1つ、いいことがありました。
私は根がネガティブなのでどうしても「できなかったこと」に意識が向きがちなのですが、この日記によって成果が可視化されたことで冷静に自分の「できたこと」と向き合えるようになりました。そしてその積み重ねが「自分も頑張ったじゃん」という自信に繋がったのです。
もちろん、八虎ほど全身全霊はかけられていません。仕事をしなければ=お金が無ければ生活がままならないという状況である以上、リソースを100%創作に割くというのは現実問題として難しい。でも、その仕事や生活とのバランス調整も含めて結構がんばれたな、もっと頑張ろうと思えたことは私にとって大きな進歩でした。
八虎と共に進む
自分の創作に前向きな感情を抱いたとき、ようやく八虎と一緒に踏み出す勇気が湧きました。もう一度1巻を読み直し、そして2巻を読んだのが一昨日のことです。やっぱり、心底面白いと思いました。
2巻は八虎が自分の技術不足と向き合うストーリーです。周りの絵が上手い友人たちと自分を比較して劣等感を抱き苦しむ八虎。そんな八虎の台詞、表情のひとつひとつが胸に刺さります。
『やっぱ俺…レベル低いな 人として』(2巻/6話)
『俺の絵にもっと説得力があったら あんなこと言われなかったんだから』(2巻/8話)
しかし、彼はそれでもへこたれずに上手くなろうと努力を重ねるのでした。
『俺の絵で全員殺す そのためならなんでもする』(2巻/8話)
ブルーピリオドを読む人は、おそらく皆八虎に感情移入し、八虎自身になります。八虎が諦めずに前に進む度に私達読者も前に進める気持ちがするのです。
1巻にて、友人・龍二が八虎にこう声をかけるシーンがあります。
『人は神と自分とを比べることはできないから(中略)悔しいと思えるならまだ戦えるね』
悔しいと思えるならまだ戦える。劣等感を前進力に昇華する、これ以上ない励ましの言葉です。今回このシーンを読み直したとき少し泣きました。龍二くんはいつだって素敵なことを言う。
劣等感も嫉妬心もすべてひっくるめて進めるように、私も頑張ります。
4巻発売は2月22日(最重要)
2巻までの話をしてきましたが実は3巻まで既に販売されております。4巻の発売は今月22日です。私の愛する橋田が表紙です。電子書籍でも紙媒体でも構いませんので、是非読んでください。私も発売までに3巻をきちんと読んでおこうと思います。
創作をもっと好きになれる、創作に魅了された私達の背中を押してくれる、そんな素敵な作品です。
「ブルーピリオド」4巻は2月22日(金)に発売予定です!
— 山口つばさ▶︎ブルーピリオド4巻2/22 (@28_3) 2019年1月24日
表紙は橋田です、にゃんにゃんの日で覚えてくださいね。書店特典などは追って連絡します。また、もしかしたら4巻発売に伴ってお知らせがあるかもなのでそちらも分かり次第連絡します。どうぞよろしくお願いします〜 pic.twitter.com/iP6qjoML9X