こんにちは。ちゃいこです。
先日、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』略してワンハリを観てきました。そちらの感想をまとめておこうと思います。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ワンハリはクエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオ主演の作品となります。ブラピとレオ様はこれが初共演だそうです。
これまでタランティーノ監督の作品は一つも観たことがないし(『パルプフィクション』とか『キル・ビル』とかですね)、レオ様映画もタイタニックくらいしか観たことがなかったのですが、流れてくる試写会感想Tweetが軒並み好評で興味を惹かれて観に行ってみました。
余談ですが、今年は個人的に「映画を観る」という行為を重視しております。これまでの記事でも何度か書いていますが、子供の頃にあまり映画を観ておらず、名作と呼ばれるもことごとく未視聴なので、それは教養的にどうなの?と疑問を覚えたためです。
別に観なくても生きていけるんですけどね。でもこういうのって観ていた方が「面白い」の幅が広がりますから。
あらすじ
舞台は1969年のハリウッドです。落ち目を迎えている西部劇俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)と彼に雇われた専属スタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)が俳優業界で奮闘する様を通して、1969年8月9日に実際に起きたシャロン・テート殺人事件を描き出します。
正直、時代背景とか事件の詳細はこの記事を読んでいただいた方が早いです。予習用に作られているのでネタバレはありません。めちゃくちゃ気合入った記事で、情報みっちり読み応えあります。ライターさんすごい。
もちろん、予習しなくても普通に映画として楽しめると思います。ただ、予習していった方がグッと深みは増すので私は予習していくことをオススメします。
<男の友情>編 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』本編映像 8月30日(金)公開
この映画の魅力
事件がベースとなってはいますが、基本はコミカルな映画です。普通、殺人事件テーマの作品を作ろうとするとどうしたって悲惨で暗い映画になるじゃないですか。にも関らず、あのコミカルな空気は巧みだなあと思いました。
事件は実際に起きた出来事ですが、リックとクリフは架空の人物です。つまり、フィクションとノンフィクションが入り混じった状態です。だから重いテーマでありながら現実味を帯びすぎていない、ポップな軽さを演出できたのだと思います。ちなみにリックのモデルは存在します。そちらについて掘り下げている記事があったので、気になる方はチェックしてみて下さい。→【ネタバレなし】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドを観た感想。まさかタランティーノ監督作品で泣くとは… | jMatsuzaki
「コミカル」とは言いましたが、ラストに結構なバイオレンスなシーンが入ってくることには入ってくるため、苦手な方は注意が必要かもしれません。かくいう私もバイオレンス苦手マンなので薄目で見ていたのですが、ちょっとおふざけの入った暴れぷりで観客の中にはそこでも笑っている方はいらっしゃいました。
なんて言うんでしょう、邦画の「冷たい熱帯魚」の殺人シーンのように、ぶっちぎったグロ演出はギャグの域に入ってきますよね。(ちなみに「冷たい熱帯魚」はグロが駄目な人は絶対観るべきではないし、私は具合が悪くなりました。)
あと、「レオ様とブラピってやっぱすげぇんだな!!」というのが率直な感想です。うまい。今回俳優&スタントマンという役なのもあって、なおのことハマッていたのかもしれません。
特にディカプリオ演じるリックの落ち目俳優ぷりは秀逸で、会場に笑いが起きるほどでした。
ほんで二人共ハチャメチャにカッコいい。顔、というのもありますが仕草がダントツでカッコよくて惚れ惚れします。私もあんな大人の余裕たっぷりブラピくんの運転するアメ車に乗りとうございます。
それから、マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テート自身が人生を謳歌しているシーンも印象的です。60年代アメリカの奔放な空気の中で、彼女は若さと美貌を振りまきながら鮮明に輝きます。ダンスパーティーのシーンなんかはそれが如実に表れていると思います。
これについては、事件後の報道により「世間から誤解を受けていた」という彼女の本当の姿を描き出したいという意図があったようです。
哀悼の意を捧げると共に彼女が生きていた世界は悪ばかりでは無かったことをタランティーノは描いています。(『Cinemarche』より)
ヒッピーってそういう存在だったの?
今回の作品及びシャロン・テート殺人事件では、ヒッピーが重要な位置づけとなります。
が、ヒッピーと言われても、そんなしっかりとした印象は持っていなかったというのが正直なところです。
我々の世代だとだいたい父親がビートルズとかフォークソングあたりの世代ですので、まあそれくらいの時代にいた人たちで、髪やヒゲが長くてチューリップハットかぶってて……みたいな。その程度のイメージでした。そこで映画を見る前にちょっと調べてみたところ、これがなかなか面白かったです。
ヒッピー文化誕生のきっかけはベトナム戦争のようです。戦争の徴兵から逃れてきた学生を中心として、これまでの社会制度や伝統から逃れた生き方をしよう!という考え方が生まれたのだそう。体制に反抗する活動でもあるので、カウンターカルチャーと呼ばれることもあるようです。
と言っても、「これがヒッピーだ!」「私がヒッピーのリーダーだ!」というようなヒッピー文化を定義する動きはなかったらしく(そりゃそうか)、ヒッピー文化の範囲は結構曖昧で活動の方向性も多岐に渡っています。
基本的にはコミューンと呼ばれる共同体を形成し、野生に戻った自然な暮らしを目指しました。半野宿のような生活を送り自給自足を目指す、フリーセックス主義、などなど特徴は色々あるのですが、特に取り上げられるのはドラッグの使用です。彼らは「本質的な世界」に近づくこと=悟りや覚醒を目標としており、そのための手っ取り早い道具がドラッグでした。ドラッグ以外にも、音楽や芸術に没頭したり、東洋思想を取り入れて瞑想や禅にも励んでいた人たちも存在したそうです。
元々が反社会的な集団であることに加え上記のような活動を行っていたので、やはり周りからは治安の悪い印象を持たれていました。事件が発生したあとには、さらに風当たりは厳しくなったようです。
……と、ここまでの情報はネットを漁って集めたものです。そういう流れがあったと知るとかなり面白いですね。戦争だけでなく環境破壊も問題になってきた時代でしょうし、こういう自然に回帰する思想が生まれるのは納得です。
もっとちゃんと文化人類学の視点から研究した本なんかがあれば面白いと思うのですが、なかなか見つけられませんでした。もし、思想に偏りのない、フラットな目線でヒッピー文化をまとめた本なんかがあれば是非教えてほしいです!
映画で犯罪を扱うということ
先述したとおり、この映画は単なるドキュメンタリーではなく、事件を元に作られたフィクションです。それも、被害者に対する哀悼と犯人たちへの復讐に満ちたフィクションでした。ラスト数十分でその意思をひしひしと感じて、思わずぼろぼろに泣いてしまいました。
ある凄惨な事件を、作品を通して後世の人たちに伝えようとしたとき、色々な表現の仕方があると思います。事実を忠実に描くことでその悲惨さを伝える方法、残された者たちの悲しみを描く方法、などなど。ときには犯罪者を賞賛してるのか?なんて批判が生じることもありますよね。
そんな中で、今回の作品はそのいずれにも当てはまらず、私がこれまで想像できなかった手法でした。こうやって誰かに寄り添おうとする作品があることと、それを作ろうとする人たちがこの世に存在することに対して、私はとても嬉しく思います。
タランティーノ監督は「イングロリアス・バスターズ」にて同様の手法でナチスを描いていると聞き、俄然興味が湧いてきました。近々観てみようと思います。
長々と書きましたが、とにかく面白いので観てくれよな!という気持ちが全てです。ワンハリを、ワンハリをよろしくお願いいたします!!!
全然関係ない宣伝コーナー
※本編には1ミリも関係ないです。
今年の8月、札幌にて開催されたポストカード展「+P14」に作品を出展いたしました。
そのポストカードの在庫が残っているので、BOOTHにて通販開始しております!ご購入いただけると私がとっても喜びます。是非覗いてみてください。
久しぶりに誰かにハガキを出してみませんか?
それでは!
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