情熱を以て殴れ

イベント・映画・漫画など、コンテンツについて好きなだけ語ります。

映画館でジブリを、みてきた。

f:id:chaiko-d:20200702203607j:image

photo by nekowo

 

 

はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ

観ました。観てきました。
こちらの企画。

www.ghibli.jp

なんという粋な計らいでしょうか。ニュースを見てブチ震えました。

コロナのことはやっぱり心配です。とは言え、今を逃してしまうと本当に一生観られないかもしれない。

こちらの記事にちょこっ……とだけ書いたんですが、日劇ラストショウというイベントにて『紅の豚』を観たことがあります。

そのとき、普段テレビで観るときとのあまりの違いに驚いたという経緯があり、多分今回パスしてしまうと後悔し続けるという確信がありました。

そこで、気休めにしかならないかもしれませんが以下の方針を立てました。

・人が少ないであろう時間を選ぶ。

・優先順位高いものから観に行く。

・無理に全部観に行こうとはしない。

映画を見に行くだけなのにこんなに気を揉まないといけない事態が悲しくはありますが、行くと決めたからにはしっかり楽しまなければなりません。

こうして先週の金曜日、まずは気合を入れて『風の谷のナウシカ』を観に行きました。

 

 

風の谷のナウシカ

「テレビとスクリーンでこんなに印象変わるんですか」

……というのがなによりもの感想です。紅の豚でわかっていたはずなのに、やっぱり驚いてしまいます。

明るい部屋にある液晶テレビと、真っ暗な空間にポツンと浮かぶ大きなスクリーンとでは、もともとの性能差を考慮したとしてもあまりにも受ける印象が違いました。

まずこんなに美しい色あいだったっけ?という。これまであまり考えたことがなかったのですのですが、ナウシカの画面構成ってめちゃくちゃ美しいですね。黄色と青のコントラストがずっと美しい。そこに浮かぶ真っ白なメーヴェ王蟲目の鮮やかな赤。こんな…こんなに綺麗でしたっけ……???私が今まで観ていたものとは……?

あと、これまで聴こえていなかった小さな小さな音まで聴こえてきて、没入感が桁違いです。特に腐海はかすかな生き物の音があちこちから聞こえてきて、本当にそこに「ある」みたいでした。

音響最強なので音の方向がしっかり感じ取れるというのもありますよね。遠くから呼ぶだとか、迫ってくるとか、通り過ぎていくとか。風の谷の風を生々しく感じました。

そうやって作品とすごく近い距離で鑑賞しているせいか、画面から伝わってくる感情がこれまでよりずっと強くって。ナウシカの不甲斐なさや悲しい気持ちがそのままこっちに流れ込んでくるものだから、もう上映中ずっと泣いてしまいました。「この人ナウシカ初見なのかな?」というくらい。これは、私が須美さんの声に弱いというのもあります。

ジブリの思い出がいっぱい~オーケストラによるコンサート~」という全国各地で開催されているコンサートがありまして、私はここ数年何度か聴きに行っています。

このコンサートの司会者というのが、ナウシカ演じる島本須美さんなんですね。当時の昂ぶりはこちらの記事を参照していただければと思いますが、このときの体験が私の心に大きな影響を与えていて、もう本当に須美さんの声を聞くと涙腺が緩んでしまう。

声だけで背中をグッと押してくれる、優しくてあったかい声は、まさに姫ねえさまの生き方そのもののよう。姫ねえさまが国民に支持されてるのは、須美さんのお力もある気がします。

それからミト、ミトですよ。これまでも当然ミトのことは好きでしたが、それでも驚くほどかっこよかったです。途中、ミト推しになってしまう……とシャツの胸元を握りしめたくらいあります。ナウシカの身を案じつつ、姫である彼女の意志を尊重するためにその心配を押し込める様子には鬼気迫るものがありました。愛……。

この映画、"愛"ですよね……。なんか見てると「宮崎駿は人類および人類の文明を憎んでいるのかな?」みたいな気分にもなりますが、でも描かれているのは憎しみを含めた爆裂な人間の愛なんですよね。素晴らしい。名作です。

ナウシカは一応原作漫画を一通り読んでいるのですが、内容が難解ですしだいぶ前に読んで記憶が朧げであるということもあり、もう一度きちんと読み直したい気持ちになりました。

 

 

もののけ姫

次に昨日観てきたのが『もののけ姫』です。

ジブリ作品の中で一番を決めるのってかなり難しいんですが、それでも私が一番好きだと言える作品がもののけ姫なんです。ナウシカ然り、「社会」とか「人間」みたいなテーマに弱いんだよなあ……。

あとは何より音楽が素晴らしい。私は昔から「アシタカせっき」が好きで好きでたまらなくて、今回映画館の音響で聴けたことが本当に嬉しかったです。最初の前奏でもう全部持っていかれてしまいました。
あー久石さんコンサートでもののけ姫メドレーやってくれないかなあ〜!!!出不精の私でも遠征を厭わない!のに!

そんな感じで思い入れがある作品でして、ナウシカでさえハンカチくったくたになってしまうくらい泣いてしまったのにもののけ姫観たらどうなっちゃうの……みたいな不安はありました。

が、意外と泣きませんでした。泣くというより、圧倒されて目をかっぴらいていた、そんな感じです。

泣いたのはおトキさんの力強い台詞を聞いたときだけ。おトキさんは観客の心まで励ましてしまうパワーがありますね。これもまた須美さんです。須美さん好きすぎる。 

もののけ姫は観る度新たな発見があって、何度観ても飽きません。

小さい頃ってあの時代背景とか設定とかよく分かんなくないですか?私の場合、アシタカがもう故郷に戻れないこととか、なぜ旅に出たのかとかそのあたりを理解したのは割と大きくなってからでした。

そこから何度も何度も観ているしある程度のことは把握していると思っていたのに、意識をスクリーンだけに集中させている分これまで聞き逃していたらしい台詞も聞こえてきました。

え、石火矢って明から輸入してるのか!とか。乙事主は鎮西から来たの?!とか。(このとき中国の鎮西かと思ってビビってたんですけど、後から調べたら九州のこと鎮西って呼んでたんですね。学び。)

よく考えると、私が生まれたときからすでにナウシカやらもののけ姫は存在していて、繰り返しVHSを観てるものだから物心ついたころにはストーリーは把握しているわけで。ある程度分かっているものだからこそ、それだけに全意識を集中して視聴したことがなかったと気づきました。

設定云々のみならず、長い間観ている映画というものは、自分の成長とともに作品に対する解釈が変わっていくのを感じられるのも面白いポイントです。子供の頃と今とでは、エボシやモロに抱く感情は全く違います。 

それから、映画館で観るもののけ姫は森の生命力が凄まじいんですよ!雨に煙る山の様子を見ていると匂いまで伝わってくるような気がしました。

水音や木々のざわめきがあんなにリアルな音で作られていることも知りませんでした。シシガミ様の池の描写すごいですね……。すぐそこでさざ波立っているような音が聞こえたと思ったら、シシガミ様が現れて完全な静寂が訪れて。見ているこちらが息できないくらい緊張しました。

そう、緊張感。これはナウシカもですが、家で見るときと比較にならない緊張感がありました。作り手とキャラクターたちの命ぶつけられている感じ。

映画が終わって館内が明るくなっても、すぐには立ち上がれませんでした。ただ座って観ていただけなのに、体がクタクタになるほど持っていかれていました。それくらい圧倒的な作品でした。

 

 

映画館で映画を観るということ

やっぱりね〜〜〜〜〜映画は映画館で観るものですね。映画館で上映するために作られてるんだなって心底思いました。

もちろんサブスクでの配信や地上波での放送を批判しているわけではなく、むしろこれからもガンガン発展させていってほしいと思いますが、でもやっぱり映画館には勝てないかな。

とは言え人間の人生というのは限られていて、「映画館で映画を観る」=「全意識を映画のみに向ける」という体験に割ける時間も私が思っているよりずっと少ないのだろうと思います。そのうちの数時間をこうやって過去の名作、大好きな作品に充てられたのは本当に恵まれています。

天使にラブソングを』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の地上波が大喜びされていたこともありますし、今後はジブリに限らずリバイバル上映増えるといいですね。これまでだとあまり大きな映画館ではやってなくて、少々敷居が高かったので。(私が知らなかっただけかもしれない。)

 

もっと色んな映画を観たいな、としみじみ思えた2020年初夏でした。

おしまい。

 

 

▽▼過去の関連記事はこちら▽▼

blog.seitokaifukukaicho.com

blog.seitokaifukukaicho.com

blog.seitokaifukukaicho.com