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映画『リトル・ダンサー』感想


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軽い気持ちで映画『リトル・ダンサー』を観たら思いの外ぶっ刺さってしまったので短めに感想文を書く。

filmarks.com

 

Filmarksのあらすじより。

「スティーブン・ダルドリー監督のデビュー作となるヒューマン・ドラマ。

イギリスの炭鉱町でボクシングを習っていた少年が、練習場の隣で開かれたバレエ教室に魅せられバレエダンサーを目指す、少年の性差を越えた夢を描く。」

 

観る前にこれを読んで、少年ビリーのサクセスストーリーなんだろうなと思った。

天使にラブソングを…』みたいな。

(全然関係ないけど『天使にラブソングを…』って邦題考えた人素敵だよね。)

 

確かに、サクセスストーリーではあった。

でも私は、この映画の主人公はビリーではなくて父ジャッキーだと感じた。

 

田舎の堅物で、男らしさをビリーに押し付けていたジャッキーは、彼自身もまたそう教えられて育ってきたのだと思う。

今まで当たり前に信じてきた価値観が、急に違うと言われてそんなにすんなり受け入れられるものじゃない。

 

上手くいかない現実に押しつぶされそうな、変化を受け入れられないジャッキーの心が、ビリーのダンスで大きく変わる。

ジャッキーはこれまでの人生で大切だったものをひとつひとつ捨てた。動揺しながらも、いま一番大切なものであるビリーのために踏み切った。

 

ビリーが夢を叶えるだけでなく、大人たちが未来に託す物語だった。

大人が自分の未来を諦めたということではなくて、誰かの未来が自分にとっても希望だと思えたということ。誰かが夢を叶えることが自分の夢になる瞬間がある。

 

バトンタッチ。

自分が子育てをしていてそう感じる瞬間が多々あったから、なおさら胸が震えた。

 

無事ビリーの進路が決まったあとに、ジャッキーとトニーがエレベーターで鉱山に降りていく印象的なシーンがある。

仕事に向かう暗い顔をした鉱夫たちの中に紛れていく様子は、一件ビリーのために自分たちの幸せを犠牲にしたかのようにも見える。

でも私は、まさに人生に一筋の光が差した大人の姿に見えた。傍からみたらみすぼらしくても、誇りと希望が胸にある人たちだった。

 

最後、ステージを見つめるジャッキーの表情も忘れられない。

 

私は今親の立場だからこういう感想になったけど、子どもの頃や、学生の頃に観ていたら全く違う感想になったと思う。
でも、今観たから深く沁みた。観て良かった。

 

あと、今回は触れなかったけどビリーとマイケルの関係性も素晴らしかった。

あんな去り際、一生忘れられないと思う。

 

偶然だけど、来月からデジタルリマスター版が上映されるらしい。気になった人は是非観てほしい。テンポ良く、爽やかな気持ちになる作品だった。

synca.jp

 

余談。

電車でたまたまミュージカル『ビリー・エリオット』のポスターを見て、『ビリー・エリオット』が『リトル・ダンサー』のミュージカル版だということを知った。それぞれ別作品として認識していた。

ミュージカル版については何も知らないが、タイトルをビリーの名前に変えているだけあってもっとビリー自身やダンスにフォーカスしているんだろうか。そちらもいつか観てみたい。

 

 

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