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【感想】『謎メキ!天カス学園』で思わず成仏した話※ネタバレあり

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こんにちは、ちゃいこです。

1年間の空白期間を経て帰ってきた、クレしん映画評論会のお時間です。

コナンやドラえもんみたいな、毎年恒例系映画を追っている方たちにはご理解いただけるかと思いますが、その年の映画が心から面白いと思えるかどうかというのは運みたいなところがあります。

映画館に赴き鑑賞すること、それすなわち約2000円を投じた運試しなわけです。

 

さて、今年は『謎メキ!花の天カス学園』。

www.shinchan-movie.com

映画好きな方の感想ツイートがバズったこともあり、クレしんクラスタ以外も結構観に行っていらっしゃるような感触です。そしてあまりにも評判が良すぎるんですよね。

 

…圧倒的不安…!!

 

評判が悪いときはだいたい私にとっても良くないことが多いので心配ない(?)んですが、世間で評判がめちゃくちゃ良いのに刺さらなかったときの寂しさと言ったら。

監督の高橋渉さんは私が愛してやまない『逆襲のロボとーちゃん』を手掛けていると同時に、私がめちゃくちゃ批判してしまった『爆盛!カンフーボーイズ』の監督でもあります。

どっち?!今回どっち?!?!?!

 

去年のラクガキングダムは(とても楽しみだったのですが)情勢的に観に行けず、久しぶりのクレしん映画だったことも私の緊張を高めておりました。どきどき。

 

タイトルにもある通り、ガッツリネタバレ有の感想ですのでご注意ください。あ、犯人には触れていないです。

 

 

・あらすじ

 

まずはあらすじから。

エリート教育で有名な小中高一貫校・私立天下統一カスカベ学園、通称「天カス学園」。風間くんの強い希望により、カスカベ防衛隊の5人は1週間におよぶ天カス学園の体験入学プログラムに参加します。

みんなで一緒にエリートを目指したい風間くんの気持ちとは裏腹に、いつもどおりおバカな振る舞いをやめず足を引っ張ってばかりのしんのすけたち。ついに風間くんは怒りを爆発させ、風間くんとしんのすけは絶交することに…。

しかしその夜、風間くんは何者かに襲われ究極のおバカになってしまいます。元の風間くんを取り戻すため、カスカベ探偵倶楽部を結成したしんのすけたちは学園の謎に迫ります。


はい。タイトルからお察しのとおり、今回は学園モノ!サザエさん時空を生きるしんちゃんたちを学園という舞台で活躍させるにあたり、体験入学っていうのはかなり良いアイディアだな〜と思いました。

 

…そんな天カス学園。

感想としては、「マジで良かった」です!!!おめでとう〜!!!!2021年はハッピーイヤーで〜〜す!!!!!ドンドンパフパフ

 

そんなに研究しているわけではないので私の肌感ですが、作りとしてはカンフーボーイズに似ていたのかなと思っていて。

とある事件をベースにカスカベ防衛隊のメンバーを掘り下げて、映画オリジナルキャラクターもバンバン出して、そこに親子愛を差し込んでいく欲張りな流れでした。

 

今回はただでさえ推理・友情・学園モノと要素が盛りだくさんで、そこに上述の要素も加わっていたのですが、見事に1本のストーリーとしてまとめられています。

みっちりした印象はあるもののテンポが良くダレることはなかったです。

 

カンフーボーイズのときは、まさおの掘り下げ方が気に食わない&野原一家の家族愛推しがくどいというところに特に大きな反感を抱いていたのですが、今回はかなりバランスが良かったように感じます。

 

 

・カスカベ防衛隊の未来

 

風間くんはご存知の通り教育熱心なご家庭で、5歳にして習い事いっぱいお受験予定の上流階級の子供です。それに対し、しんのすけ含む他4名は一般家庭。

今はまだ幼稚園児で、家庭の格差が友人関係にまで反映されていないものの、彼らはこれからもずっと仲良しでいられるのだろうか、という疑問は時々脳裏に浮かびます。

 

そんな中、風間くんが今回体験入学へ申し込んだ理由。

風間くんは5人で一緒の小学校に行きたくて、だからみんなで頑張って体験入学で良い結果を残して、天カス学園に5人揃って入学したかったのだと。

「いつか終わってしまうんじゃないか」という不安は、風間くんの中にもずっとあったということです。

 

そんな、私たちがうすうす感じていた刹那感をいきなり突き付けてくるのやめてもらってもいいですか?あまりにも鋭い脚本。風間家の進学方針に文句言いたくなっちゃう。

 

結局5人は天カス学園には入学しないわけですが、最後のシーンで風間くんがしんのすけに対し「将来またこうやって競争しよう」って言ったのが風間くんなりの意思表示で、いじらしくてマスクびしょびしょですよ。secret baseの世界観。

でも彼らならきっとずっと仲良くいられる気がする。

 

 

しんのすけと風間くん

 

今回はカスカベ防衛隊の中でも特にしんのすけと風間くんをメインに据えています。

カスカベ防衛隊は5人みんな仲の良いグループですが、その中でもこの2人は特別な友人関係です。おちゃらけてルーズなしんのすけと、真面目でルールは守るタイプの風間くん。正反対ですが、一番親密な組み合わせなんですね。

 

しんのすけが風間くんのことを好いているのは見ての通りで、何かにつけてちょっかいをかけますし、部屋にもばんばん遊びに行きます。

一方の風間くんはいつもしんのすけに振り回されていて、あまりしんのすけのことが大好き!という雰囲気ではありません。一見。

しかし、『オラの引っ越し物語』の野原一家引っ越しシーンにおいて、しんのすけとの別れを最も受け入れられなかったのは風間くんでした。お見送りにもなかなか現れないし、最終的には泣きながらしんのすけを追っかける。ちなみにこのときしんのすけも泣いています。

(確かこれに言及している公式のインタビュー記事があったのですが、見つけられず…!見つけた方教えてほしいです。)

我々が思っている以上に、風間くんはしんのすけのことが好きです。

 

そういう背景がある中で、今回2人のガチ喧嘩シーンがあります。正反対な性格故に衝突はよく起こしているのですが、お互い頭にきて絶交するまでのことはあまり無かったように思います。

この喧嘩の描写がかなり秀逸で心にきましたね…。風間くんが、ルーズなしんのすけに対して、「お前の親はなんでそんなにルーズなんだ、ダメ親だ!」(意訳)というような親を侮辱する言葉を投げつける。そしてしんのすけはカッチーンときてしまう。

私自身ルーズな家庭で育っているので、完全にしんのすけ側の肩を持ってしまっており、これをやられちゃうと絶交まで言い切っちゃうだろうなという納得感がありました。

 

あと、作中で風間くんが友人それぞれを自分なりにどんなに素晴らしい友人であるか書き記したシーンがあるんですけど(この時点でもう泣いちゃうやつ)、その中で風間くんがしんのすけのことを「心がエリートです。」って評しているんですよ。

 

これ、私は全く気付いていなかったんですが、この方の記事読んでいて思い出しました。

www.shachikudayo.com

確かに原作コミックにあるんですよ!!!「ボクのともだち(=しんのすけ)は心がエリートです」のエピソード!!!!!

詳細は元記事およびコミック43巻をお読みいただければと思いますが、改めてこれ読み直して私は布団の上で丸くなり熱い涙を流しました。

このセリフを再解釈して映画化…??????天才…????????無理。

 

しんのすけはやっぱり視点がフラットなんですよね。映画の中でも唯一、クラスに関わらずみなに平等に接してる。ギャル・ヤンキーとも一瞬で仲良くなる。

女性にはセクハラ気味だし、下品っていう欠点はあるんだけど、だれにでも分け隔てないしんのすけのその態度を風間くんはエリートだと称しているのです。

 

さきほどの43巻の話ですが、風間くん→しんのすけで気まずさがあることを知らなかったとは言え、おもらししちゃった風間くんをすんなり招き入れて着替えさせるみさえの懐のデカさがしんのすけにもそのまま遺伝しているように思えます。

 

 

・ 野原一家について

 

野原一家の愛情描写がかなりいい塩梅でした。

冒頭、しんのすけが体験入学で一週間外泊するって聞いたときに「えっ?そんな長い期間しんのすけが親元を離れたことってあったっけ?」と真っ先に思ったんですよね。

そしたらやっぱりみさえはとっても心配していて、荷物をめちゃくちゃ持たせるし、送り出すときは"一週間分のハグ"を与えるし、その辺のシーンはかなり説得力があってよかったです。問題児であればあるほどいなくなると寂しくなるでしょう。

 

そもそも、今回は親→しんのすけへの愛情の描写がかなり具体的だった気がします。口で「愛してる」っていうだけではなくて、例えば出発するときのしんのすけの様子をひろしがスマホで動画撮影するような、細かいシーンがほどよく散りばめられていてしっくり来ました。

 

自覚していなかったんですが、書いてまとめていくうちにカンフーボーイズに対する私の厄介感情が成仏させられていることを実感しました。前回引っかかっていたポイントがハチャメチャ改善されている…2年越しの成仏、良かったね…。

 

 

・そのほか心のメモ

 

・ゲスト声優めちゃくちゃ良かった。なんなら新しめの声優さんかと思ってた。なんか癖強いヤンキーいるなあ…と思ったらチョコプラでしたね。どおりでTT兄弟ネタがぶっこまれているわけで。

フワちゃんはゲスト声優とかではなかったですけどね。あれは普段のフワちゃんなのよ。クレしんワールドに完全になじんでいたのは草。

 

・「ふくらはぎ むくみ」「あつき ちしお」みたいなクレしん特有のネーミングセンス大好きです。大人が笑っちゃうんですよね。

 

・風間くん不在時のリーダーてネネさんなんですね。やはり強い女。あの母あってこの娘あり、です。

調子乗りモードのまさおも、ネネさんがいるときは気が緩んでよわむしまさおに戻っちゃうの本当に萌え。まさおには申し訳ないが、一生尻に敷かれつつネネの奔放な想像力に付き合ってあげてほしい。

 

・さすがくん登場した瞬間SUKI…でしたね。秀才キャラに片目瞑りって罪深くないですか?バカになっちゃったときもめちゃくちゃ可愛かった。

ちょっとずつ彼の世界が広がって孤独が埋まるといいなあと思います。

 

・さすがくんSUKIって書いたけど、正直に言うとろろさんが性癖オブザイヤーです。好きにならんわけがないのよ。生物部に入りたい。

なんか一瞬もののけ姫がよぎったけど気のせいですよね。

 

・ここまで来てようやく書きますけど、ミステリーもしっかりミステリーしてて面白かったです。画面上の情報と、容疑者の情報を集めつつ観客が推理できるようになっていました。

ちなみに私は途中で犯人わかりました!当たってた!嬉しい。

 

・頑張っている人が変顔になっているからって、カスカベ防衛隊が一人も笑わずいじりもせず、一緒に頑張っていたのが教育にも私の心にも良すぎた。

 

・毎年そうなんだけど、劇場版オープニングは必ず石田卓也さんのクレイアニメなのが最高。実家のような安心感。そして今のオープニングってケツメイシなんですね。曲かっこよくてびっくりしちゃった!エンディングのマカロニえんぴつの「はしりがき」も完全に解釈一致でしたね。

 

 

・おわりに

 

近年、教育に良いと言いますか、もっとファミリーに受け入れられたい熱をクレしん制作サイドから感じています。

ただ、クレヨンしんちゃんという作品から下品でしょーもない要素を取り除くのは不可能で、それをやりたいなら別作品でやれって話になってしまうのでなかなかバランスが難しいところだと思うのです。

そんな中で、今回は元の世界観を崩さす極限まで教育ポイントを高めてきていたなと思いました。かつストーリーが面白い。映画としてとても良かった。

 

ついに戦国大合戦やオトナ帝国の呪いを振り切った!みたいなコメントを見かけましたが、私はそうは思いません。だいぶ前から超えてます!進化してるよ!

(個人的には2014年のロボとーちゃんくらいからまた盛り上がってきたなという印象です。歴代興行収入1位はロボとーちゃんの翌年の引っ越し物語ですしね。)

 

熱い友情、ブロマンスに弱いあなた!!情勢的にちょっと難しいところもあるかもしれないけれど、是非映画館で観てほしい!

 

あわよくば……去年のラクガキングダムがコロナの影響で興行収入ガクッと落ちてしまったので今年はめっちゃ売れてほし~!!!そして来年再来年の映画資金となってくれ~!!!

 

 

 

…えっ…?8月12日日比谷で舞台挨拶!?!?!?!?(先日日比谷で観た人)

早く言ってよ~!!!!!

 

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